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grieve
久しぶりにカナダへ電話をした。
私が2年間部屋を借りていた家の大家さん。
彼女のことは以前このブログにも少し書いたことがあるが、
移民としてポーランドからやってきた彼女は
外国からやってきた私のことを何かと気にかけてくれた。
穏やかで優しい人。

誕生日の朝に私を襲った感情について彼女に話をした。
ひとつ年をとったと思ったら急に不安になったこと。
何者にもなれていない自分、誰からも必要とされていない自分。
腹が立って、哀しくて、そんな自分に驚いたこと。
そして、ふと落ち着いた瞬間に
「ああ、ついに私にも年齢による心と体の変化がやってきたんだ」
と思ったこと

英単語をひとつひとつ選びながら話す私に気長に耳を傾けた後
彼女が口を開いた。
「ミカ、人は新しいステージに足を踏み入れようとしている時には、
必ず何かを置いていかなきゃならないの。
大人の女には、シミもシワもない肌や、ハリのある胸や、艶やかな髪を
置いていかなければならない時もやってくる。
置いていかなければならないことを悲しんで、
手放さなければならないものを悼むことは当たり前なのよ。
それは、次へ進む儀式のようなもの」

Mika, you cried because you grieved about what you had to left behind.

grieveという言葉を彼女は使った。
日本語に訳すと「悲しむ」となるけれど、
そこには、死者や死自体を深く悲しみ悼むというニュアンスが含まれている。
単に負の意味だけではない、少しだけの温かさが含まれていて
私はこの言葉が好き。
その言葉を、彼女は使った。
そして「aging」とか「menopause」という言葉を使わずに
「next stage」と言った。
目からうろこが落ちるような感覚を味わいながらも、
彼女らしいとも思った。

こういう"先輩"がいてくれれば、
慌てふためきながらも根っこの部分では安心して女は年をとっていける。
決して傷を舐め合うのではなく、
「大丈夫、あなただけじゃない」と強く背中を叩いてくれる人さえいれば
置いていくもの、諦めるものを、悼み弔いながら次のステージに足を進めることができる。
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Top▲ | by mikansky | 2010-06-20 23:00 | words
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