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あのときのことば #7

「センセイ、ぼくには大事な友達がふたりしかいないんだよ」

以前教室に来ていたトモくんの言葉です。
幼稚園に入って数ヶ月経ったある日、
私は何気なく彼に聞きました。
「幼稚園でお友達たくさんできた?」
それに対してトモくんが答えたのがこの言葉です。

未だにこのときのことは胸に残っています。
これからいろいろ感じ取って育っていく子供に、
なんて愚かな大人の感覚を押し付けてしまったか、と。
彼の答えを聞いた瞬間に、自分の間違いに気づきました。

どうして大人は、友達はいっぱいいる方がいいと考えるのでしょう。
「友達100人できるかな」なんて歌いながら、
たくさん友達がいる子はいい子、と言わんばかりの価値観を
押し付けるのでしょう。

ちゃんと話さなきゃだめだと思いました。

「あのさ、センセイはトモくんよりもずっとずっと歳をとっているけど
本当に大切な友達は多分5人くらいしかいないんだ」
「そうなの?」
「うん。
センセイは1人の友達をきちんと大切にしようとすると
とても時間がかかっちゃうんだ。
だから、たくさんの友達がいると、
みんなを同じように大切にしてあげられなくなっちゃうの。
5人ならきちんと大切にできる」
「ぼく、友達ふたりでも大丈夫?」
「トモくんがその子をちゃんと大切にするのなら、
友達はふたりでもひとりでもいいんだよ、きっと。
ごめんね、センセイは間違っていたね」

私は、子供と話す時、"諦める"ということをしないように心がけています。
「まだ幼稚園生だからこんなことを話してもわからないだろう」
と諦めてしまうと、絶対に大人は損をします。
大人が伝える努力をすれば、全てのことは伝わります。
(ただし、変な子供言葉や、子供に対して話す時特有の妙なイントネーションは
使いません。彼らが理解できる言葉を使う、それだけで十分です)
伝わったらこんなに面白いことは無い。
それができないとしたら、あなたの大人としての資質がいくつか欠けているのです。
私にそれを教えてくれたのはトモくんでした。
本当に魅力的な、深い男の子でした。
そして、彼が教えてくれたように、諦めないで伝えたら
ほかの子供たちも同じくらいの深さを湛えているということがわかりました。

生きてきた時間が短い分、
情報や技術やキャパシティは確かに私たちよりも少ない。
でも、根っこの部分は大人も子供もさして変わりはないのです。
長く生きた分染み付いてしまった何の根拠も無い価値観を
生きてきた時間が短い人たちに押し付けたり、
それで彼らを計ってしまってはやっぱりいけません。

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Top▲ | by mikansky | 2006-10-08 15:10 | words
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