「降り注ぐ災難の中に己の身を置いてみよ。 次々に訪れる痛みや喜び 成功と挫折を経験して 人は初めて人間になれる」 ゲーテのファウストにある言葉です。 オープニング、この言葉が画面に現れるだけで、もう涙・・・。 ツール・ド・フランスを一度も見たことの無い人には 何が何やらつかみどころの無い映画だと思います。 でも、一度でもツールに見惚れたことのある人なら 最初から最後まで泣きっぱなしになること請け負いです。 2004年のツール・ド・フランスで、名門チームCSCに密着。 戦いの裏側を「ここまで?!」というくらいに追い続けたドキュメントです。 監督の苦悩。 ボロボロに消耗していく選手たちの体。 決してテレビの画面では見えないチームスタッフたちの献身。 それはもう「凄まじい」の一言です。 苛立ち、追い詰められる監督に、年配のボディトレーナーが声をかける。 「助けが必要だと言わないと。 ひとりで抱えこんではだめだ。 サインをだしてくれれば、私たちが助けるから」 そして、大きなハグ。 CSCの中のみならず、ツール参加選手の中でも主力であるバッソは、 レース中に母親の癌告知を知らされる。 不安定になる彼を囲んで集まるチームと、 どうか支えてほしい、と彼らに訴えるバッソ。 母の化学療法が始まる日、チームはバッソに勝たせるためのフォームを組み、 彼は「支えてくれる人たちのために、今日は何かをしたい」と レースに臨みます。 ハンドルに「MAMA」と書いたテープを貼り付け、 ついには無敵と言われるランス・アームストロングを抜き去り 区間優勝をする彼の姿にはただただ嗚咽。 人差し指を立てた両の腕を高々と突き上げて天を仰ぎながらゴールする姿は まるで祈る姿のように見えます。 (自ら癌を克服して復活を遂げたランスは、敵でありながらも バッソの相談を受け、彼を支えます) 転倒・落車も、テレビ中継では 「おーっと、落車ですねぇ。これはチーム○○の××です」 なんてレポートくらいで済んでしまうのですが、 そのたびに選手の体と心がこれほどのダメージを受けるとは 想像だにもしていませんでした。 折れた手首にテーピングを施してまだ走り続ける・・・ ジャージを脱いだときの選手たちの体には 正視に堪えられないほどの創痍。 これが人間なのか、と、 神の領域にすら届いてしまっているのではないか、と もう、そう思わざるを得ないほどに 人間の限界点をはるかに超えてしまった選手たち。 彼らに限界点を超えさせてしまう、ツールという恐ろしいレース。 スポーツに興味の無い私が、 ツール・ド・フランスにだけこんなに入れ込んでしまうのは、 決して大げさでなく、そこに神様が見えてしまうような気がするからです。 あの20日間を越える夏に一度でも付き合ってしまうと 神様の存在と人間の底力を信じないわけにはいかなくなります。 あーあ、見てしまった。 これを見てしまったからには 来年からのツールは全ステージテレビの前で正座をして観戦せねば。 さて明日は、同時購入した『マイヨ・ジョーヌへの挑戦』を見ます。 こちらは、Tモバイルに密着したドキュメンタリー。 またもや打ちのめされること必至です。 マニアックで申し訳ない。 Top▲ |
by mikansky
| 2006-10-30 23:40
| movies
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