Top
「ありがとう」
『プロフェッショナル 仕事の流儀』の再放送を見た。
昨日の放送は、ユニセフ・タジキスタン代表の杢尾雪絵さん。
OLとして何不自由なく暮らしていたものの、ある出来事をきっかけに会社を退職、
青年海外協力隊を経て30代半ばでユニセフに入るという
彼女の生き方にも圧倒されたのだけど、
私はある一瞬に押しつぶされそうなほどに胸が詰まってしまった。

茂木健一郎さんと共に司会を務める住吉美紀アナウンサーが
「お伺いしていいのかどうか・・・」とためらいつつも
「お子さんはいらっしゃるのですか?」と質問した。
杢尾さんには、タジキスタンで出会ったパートナーがいて、
一緒に暮らしている。
日本流の結婚ではないにしろ、二人の間に子供がいてもおかしくはないし、
恵まれない子供たちのために身を粉にして働く杢尾さんの原動力が
母としての愛から生まれているのかもしれない、と思うのも
不思議ではない発想だ。

尋ねられた杢尾さんは静かにこう言った。
「私は、2度流産しているんです。本当は子供ができるとよかったのですけどね。
でも、パートナーが"きみは子供のために仕事ををしているのだから、
世界に何万人という子供がいるんだよ。それでいいじゃないか"
と言ってくれるのです。ふがいないと思うこともあるけれど、
これが私に与えられた運命かな、って」

それを聞いた瞬間、住吉アナウンサーの目から涙が噴き出した。
本当に、一瞬にして噴き出した、という感じだった。
一見静かな涙だったが、
ふと我慢が途切れたら嗚咽が漏れるだろうと思うくらいに
激しい感情から湧いた涙だということがわかった。
杢尾さんの核心を突いてしまうような質問をしてしまったことへの
うろたえもあったのかもしれない。
でも、それ以上に、目の前にいる人の美しい強さを
同じ女性として激しく実感してしまった涙だったのだろう。

一瞬の沈黙。
杢尾さんの瞳からも涙が流れ落ちて、
もうひと呼吸の沈黙。
こんなとき、一体、誰が何を言えばもっとも救われるのだろうと思ったその次の瞬間に
杢尾さんが言った。

「ありがとう」

私は息を飲んだ。
ああ、優しくて強い人というのはこういう人なんだ。
まず、自分のために涙してくれる優しさを受け止めて
ありがとうと言えるこの優しさ、美しさ。

杢尾さんは、苦しい環境におかれたタジキスタンの子供たちについて語るときも
はらはらと涙を流した。
本来だったら私たちが少しずつ担わなければならない大切なことを
こういう優しい強い人が、一心に背負ってくれているのだなと、
心から頭が下がる思いだった。
[PR]
Top▲ | by mikansky | 2006-12-26 15:42 | people
<< 気持ちいいからしちゃうコト | ページトップ | チュートリアル優勝-M1考 >>
"cat-screams" Skin
by Animal Skin