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思い出すこと、引っかかっていること
昨日の朝、とんでもない目に遭いました。
調子よく起きて、身支度など整えていたのですが
突然体調がおかしくなり、
これまでに経験したことの無いような事態に。
結果的に言えば、小一時間で私は完全復活、
全くシリアスではない結果に無事収まったのですが。

とんでもない状態に陥ったとき、
人はいろいろなことを考えるものです。
「ひょっとしたら救急車を呼んだほうがいいのかなぁ?」
「携帯から茶の間に電話をかけて、家族にこの状態を知らせなきゃ」
などなど、ありがちなことを考えながらふっと、
一緒に行った旅行先で友人が同じような症状に見舞われたことを思い出しました。
もちろん、その時の私は自分にできる限りのことをしました。
・・・した、つもりでした。
でも、自分が同じ状態に陥っている今、改めて考えたのです。
「ああ、こんなにしんどかったんだ。可哀想だったなぁ。
私、もっと何かしてあげられたんじゃないだろうか」
で、副産物的に発生した貧血でぼんやりしつつも
「Fちゃん、ゴメンよぉ~。私がいけなかったよぉ~」
と、ボロ泣き。

旅行は、もう20年近く前のことです。
ひょっとしたら、Fちゃん本人も忘れかけているかもしれません。
なのに、後々自分が同じ状況に出くわして初めて
自分の罪(のようなもの)に気づくことがあります。
また、そのときからずっと忘れることなく心の隅に引っかかっている罪の意識もまた
存在します。

小学校5年生のとき、当時流行っていた「王様と家来」というゲームをしました。
ジャンケンで勝った人が、いちばん負けた人に何かひとつ命令ができるという、
いわゆる合コンなどでよくやる(らしいね)「王様ゲーム」のようなものです。
そんなゲームでトップになったのはYさん。
負けは私。
Yさんは、両親とも教師の家庭にひとりっことして生まれ、
あの頃の田舎の小学生には珍しくピアノ教室や塾や絵画教室などに
忙しく通っている女の子でした。
土曜日の午後、私たちが泥だらけで走り回っている公園の脇を
Yさんがお稽古バッグを手に通る姿を何度も見かけました。
いじめとか、毛嫌いとか、そんなものは微塵もなかったけれど、
ほんの少しだけ距離を感じさせる人でした。
そんなYさんがなぜその時ゲームに加わっていたのかは
記憶にありませんが、それはとても珍しいことでした。
さて、そんな"真面目っ子"Yさんは私にどんな命令をするのか、
ちょっと気になりつついると、彼女が私に耳打ちをしました。
「友達になって」
不意を衝かれたような気がして、なんとも意外で、
多分、私は一瞬何も言えなかったような気がします。
そして、次の瞬間、そんなに真っ直ぐな言葉を投げかけられたことが
妙に照れくさくて、うれしいのに照れくさくて、こう答えたのです。
「友達じゃん」
ああ・・・
Yちゃんは、ものすごく勇気を振り絞ったのだと思います。
確かに私はYちゃんを友達だと思っていた。
でも、照れくささから投げたその瞬間のこの言葉は、
きっと温かみを孕んでいなかったと、
Yちゃんの心を萎ませてしまったと私は確信します。
実を言えば、あれから何十年と経った今でも
私はあの時のことを思い出しては情けなくなるのです。
この何十年間、ずっとそうなのです。
心の隅に引っかかっている罪です。







何年か前、伯母がこんな話をしました。
私の母が妹を出産するために入院していたとき、
彼女が私の面倒を見てくれたのですが、
ある日散歩の途中で私が
「足が痛くて歩けない」とぐずったのだそうです。
伯母は
「何でもわがままを聞いてしまうのはよくない」と
私を歩かせました。
家に帰って靴を脱がそうとすると、
私の靴には鋲が刺さっていて、
それは足の裏にまで突き刺さっていたのだそうです。

その話をしながら伯母は
「足に鋲が刺さっていたのだもの、歩けなくて当たり前よね。
でも、なのに私は、あなたの靴や足を調べることもしないで・・・
あの時のことを思うと可哀想で可哀想で」
と涙ぐむのです。
"あの時"の私は3歳、
伯母の目の前にいる私はとっくのとうに大人になっているというのに。

ほんの些細なことなのです。
そして何十年も経っていて、
きっと相手の心には記憶の欠片も残っていないかもしれないのに、
引っかかったままの罪の意識というのはあるんですよね。

ちなみに伯母は、認知症を発症し、
昨年グループホームへ入所しました。
今の彼女の中で、私の存在はいろいろな人と交じり合って
もう確固たるものではなくなっているようです。
でも、引っかかっていた罪の意識ももう、彼女の心からは消えていることでしょう。
私も、年を取って人生が終焉に近づくときには
罪の意識を忘れることを許してもらいたいと思うのですが、
それはわがままかな。
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Top▲ | by mikansky | 2007-03-19 00:06 | other
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