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ひとり
逢魔が時の街は、不気味なくらいに人で溢れかえっていた。
一日は、これからゆっくりと終わりに向かうというのに、
これからが始まりのように嬉々として
よくもまぁぶつかり合わずにすいすいと。

そんな中を歩きぬけながら
その人が言った。
「もし、携帯電話から出る電波が
蒼い筋になって目に見えたとしたら・・・」
「怖いね」
と、私は笑った。
「この空間は何千の蒼い筋で埋め尽くされてしまう」
と、その人は一瞬困ったような顔をした。
そして、
「うん、怖い」
と言った。

私の携帯は常に留守モードになっている。
私の部屋の電話はいつも留守設定になっている。
世の中に蒼い筋が溢れかえるほど
みんな誰かとつながりたがっているというのに、
私には時々それができなくなる。
だから、いつも、私は留守。

どんなに大切な人がいても、
たとえば苦しいくらいに求めてしまう人がいても、
誰ともつながらない時間をたっぷり持たないと
私は"生き苦しく"なってしまう。
つくづく因果なものだと思うけれど。

誰かといっしょにいることで救われる人がいるように、
独りになることで呼吸を取り戻す者もいる。
時々私の消息がつかめなくなっても、
どうか気にしないで。
きっと私は岩戸の中で、独りに笑ってる。
気が済んだら、扉を開けて、
何事もなかったように出ていくから。
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Top▲ | by mikansky | 2007-03-28 15:52 | other
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