人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
金のじょうろに泣く理由
電車で隣に座った女の子、やおらDSを取り出し、
『どうぷつの森』を始めた。
ああーっ、話しかけたい!
「たぬきんち、まだスーパーなんだ。
私、通信で行って買い物してあげようか?」
「岩叩いて、最高何ベル出した?」
うぅぅぅ。

やっと、金のじょうろをもらいました。
毎日、村のあちこちに花植えて、水やって、雑草とって。
その努力に応えてくれるように、すずらんの花が
少しずつ咲き始めて、そして、金のじょうろです。
(ほとんどの人にはわからないだろうと。すみません)
私、ちょっと泣きそうになりました。
いえ、金のじょうろをゲットしたからではありません。
じょうろをくれる時、役場のぺりこさんが言ってくれた台詞に。

『mikanskyさんがこの村のために
毎日毎日頑張ってくださっていたことは、
私だけでなく、全ての住人が知っていますよ。
ありがとうこざいます』

"全ての住人が知っていますよ"って・・・。
自分のひそかな頑張りを、
どこかで見ていてくれた人がいる。
こんなに胸打つことがあるかいっ?!
まぁ、ゲームだからね。
努力も遊びのうちなんだが(笑)






カナダにいたときのこと。
サラシナちゃんという、ちょっと面白い女の子がいた。
東北出身の彼女は、カレッジの中でも群れることをせず、
わが道を行く、って感じの人だった。
なぜそうなったかは忘れたが、
サラシナちゃんと私はいつからか、
毎日同じ時間、同じ場所でタバコを1本吸って、
次の授業まで話すことが習慣になっていた。

ある日のこと、いつものように話し込む私たちのところへ
Hちゃんがやってきた。
数学の成績が芳しくなくて、もう望みが見えないと、
いきなり切り出した。
Hちゃんは、私より年上で、超有名企業を退職して
カナダに海洋学を学びに来た。
彼女見ていると自分が生きていることが恥ずかしくなるくらい、
彼女は努力の人だった。
そんな努力が、どうしても数学だけには現れてこない。
もう日本に帰りたい、と彼女は、初めて言った。
いつもは冷静な人が限界ぎりぎりにいるのは、
その顔を見れば明らかだった。

「帰ってもいいと思うよ。
私もみんなも、Hちゃんがどれだけ頑張ってきたか知ってる。
全部この目で見てきたよ。
ここであなたが日本に帰ったところで、
それがあなたの選択なら、誰もそれを馬鹿にしたりしない」
本当にそう思っていたから、そう言った。
実際にはもう少し長い言葉を口らしたような気がする
Hちゃんは、私の目を見ずに、口をへの字に結んで、
サラシナちゃんは私の隣で黙ってタバコをふかしていた。

みんな黙っていて、
私の発言が宙を空回りし始めそうな気配が漂い出した時、
サラシナちゃんがひと言
「見てる人がいてくれるって、強いよね」
その途端、Hちゃんの目から、ぼろぼろぼろと涙が噴き出して、
彼女はそのばにうずくまって泣きだした。

呆気に取られている私を尻目に、
ほんの数十秒ほど号泣したHちゃんは
その後すっくと立ち上がり、
「やる」
と言って去っていった。
ちょっとだけ、
サラシナちゃんにオイシイところ持っていかれた気がしたが、
サラシナちゃん、かっこいいなぁと思った。

どうぶつの森でも、異国の学校でも、
だぁれもいないと思っていても、
どこかでどこかでエンジェルが、
いつでもいつでも眺めてる。
ちゃんとちゃんとちゃんとちゃんと、ちゃちゃーんと
眺めているんものなんだなぁ。

ちなみにその後のHちゃんは、
カナダへ移民して、希望していた大学へ編入。
卒業後はその大学へ就職。
今では、ラボの技術者として頑張っています。
数ヶ月前には念願の家を購入。
しっかりと根っこを伸ばしつつあります。
Top▲ | by mikansky | 2007-06-13 12:59 | favorite
<< 締め切りました | ページトップ | すまぬ >>
"cat-screams" Skin
by Animal Skin