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石井桃子さんの絵本と私たち
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石井桃子さんが亡くなった。

去年だったか一昨年だったか、
待ち合わせに遅れそうで駆け抜けた銀座の街で
「石井桃子生誕100年展」という小さな看板をみかけた。
ある書店の店先だった。
急がなければならないときほど、
足を止めて見入りたいものに出くわす。
そんな状況にちょっと舌打ちをしながら、私はそこを通り過ぎた。

私の伯母は保育園の園長をしていた。
彼女は仕事の中で
子供の心を豊かにしてくれるであろう絵本や玩具にたくさん出会ってきた。
そして、自分に子供がない分、
そういった絵本や玩具を甥や姪に惜しみなく与えてくれた。
「ちいさいおうち」「ノンちゃん雲に乗る」「こねこのぴっち」
"たーちゃんおばちゃん"がくれた絵本の頁を繰りながら、
ただ普通に読むだけでは飽き足らず、
私たちいとこ同士は自分たちで新しい物語を考え出し
それを順番に披露するという遊びをした。
時には母親たちもそこへ交じり合い、
何時間も笑いながら過ごしたものだ。

造園家、彫刻・オブジェ作家、漁師の妻、小さな会社持ち、
ハワイアンキルト講師、スイミングコーチ、英語講師兼翻訳士・・・
不思議なことに、私たち7人の従兄妹の中には会社員がひとりもいない。
母親たちは、みんな勝手な生き方をして、と少し嘆いたりもするけれど、
ひょっとしたらそれはあなたたちの責任よ、
と私は時々思う。
子供の頃から、
想像力や独創性を豊かに豊かにする絵本を与えられ、
想像力や独創性を豊かに豊かにする時間を与えられ、
私たちは好きな生き方をする大人に育った。
そして、それを与えてくれたのはあなたたちなのだから。

私たちの育ち方・生き方に少なからず影響を与えてくれた絵本の、
その多くが、石井桃子さんの手を経ているものだということに
今更ながら驚きながら、
なんとなくも幸せに生きている今を
石井さんと、私たちの母親たちに感謝。

いいものを生み出す人が去っていくのは悲しいことです。
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Top▲ | by mikansky | 2008-04-03 10:29 | book
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