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だれも信じてくれない
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drawn by 天才ノリーさん

時々、大変奇妙な光景に出くわすことがあります。
天才グレートライター・ロイ氏より
「天性の面白ハンター」の称号をいただいた私としては
とてもうれしいことなのですが、大きな問題がひとつ・・・
滅多に出会えない光景を目の当たりにする時、
必ず私は一人なのです。
どんなに珍しい場面に立ち会ったとしても
私以外にそれを見た者がいないわけですから
そう、信じてもらえない。

数年前、こんなことがありました。

私は一人、外回りの山手線に乗っていました。
ドアと座席の角、手すりにもたれるように外の景色を見ていると
秋葉原あたりで一人の中年男性が乗ってきました。
彼は、私が立つのと同じドアの
もう一方の角に立ちます。
つまり、私たちは同じドアの右側と左側に立つ状態に。
彼がドアに背中を向ける形で立ったので
私からは彼の横顔が見えるポジション。

・・・んっっ??
取り立てて意味もなくぼんやりと動いていた私の視線は、
目の前に立つ男性の前をゆっくりと通り過ぎ
反対側のドアへ到達するあたりで
再び男性の元へ電光石火の速さで戻りました。
類まれに見るパーフェクトな二度見。

あ、あたま・・・
毛がない部分を黒く塗ってるぅぅぅ!
そうなんです、この男性、
本来は波平サンのようなヘアスタイルなのですが、
毛髪のない部分の頭皮をなにやら黒い塗料で塗りつぶしているのです!
油を含んでいるような、そう、コールタールのようなべっとりとした黒。

そりゃぁ遠目に見れば頭全体に髪があるように見えるでしょうよ。
真っ黒ですもの。
だけど、だけど、1メートルの距離で見たら
髪の毛無いもの!
ただつるんとした表面が黒く塗られてるだけだもの!
なんなら、ぷつぷつと毛穴すら確認できるぅぅ(泣)

そんなにまじまじ見てはいけない!
でも、でも見たい!
はっ、誰か、私の他に誰か気づいている人は?
連れがいない私は慌てて辺りを見回します。
他人でもいいから、せめてこの一瞬を共有して
私が今見ている光景が事実であるということを確認したい。
なのに嗚呼、運命とはなんと残酷なものなのでしょう、
誰一人として目の前にあるこの奇跡のような光景に
気づいていないのです。

誰か!誰かぁぁぁぁ!

ふっ、また独りほっちだよ・・・

案の定、友人たちはこの話を一笑に付しました。
どんなに声を嗄らして説明しても
「はい、はい」と笑うばかり。

こんなことばかりなのです、私の人生。
どんなに「うわっ!」と思う場面に出会っても
決して信じてはもらえない。
だから私はまた独りぼっちで呟くのです、

見たんだから、ほんとに、見たんだから・・・

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Top▲ | by mikansky | 2004-08-12 22:55 | other
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