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旅に出たい
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初めてひとりで海外へ行ったときのこと。
成田からアメリカへ向かう便の乗客はほとんどが日本人で、
外国を感じさせるものなど何ひとつなく。
ところが、空港に降り立ってみたら(シアトルだったのかポートランドだったのか)
当然そこははっきりとした外国で、その迫力に気圧された私は
乗り換えの為にターミナルを移動し始めた辺りからおどおどと挙動不審に。

アメリカからカナダへの便はほぼ国内線と同じ感覚で、
私が乗り込んだ飛行機は通路をはさんで両側に3席が並んだやや小さめのもの。
チケットの番号を頼りに自分の座席へたどり着いてみると、
それは3席並びの真ん中の席。
ということはひとり旅が3人並ぶわけね、と手荷物を収めて
無事にここまでたどり着いた安心感と共に席についたのでした。
ところが・・・

私の両隣に座るべく通路を進んで来たのは、なぜかアメリカ人夫婦。(カナダ人だったかも)
そう、夫婦。
えっ? 私をはさんで夫婦?
解せません。
なんとかエア(どこの航空会社だったか忘れました)のカウンターのお姉さんは
なぜに独り者の私を3席の端っこにしなかったのでしょう?
ところがこの夫婦、真ん中に座る私を見てもさほど気にすることもなく、
奥さんは窓際へ、旦那さんは通路側の席に陣取ります。
あぁ、ここはひとつ
「私が席を替わりますので、どうぞお二人は並んでお座り下さい」
と格好よく決めなくては。
が、しかし、当時の私は英語下手っぴもいいところ。
意を決して奥さんに話しかけてみたものの、多分あちらには
「えー、あー、席ぃ、替わる、いい?」
程度に聞こえたであろうたとたどしさ。
案の定彼女は、外国から独りでやってきた可哀想な子供を見るような目で
「窓際に座りたいの? いいわよ。どうぞ。」
そうではなくて・・・ということを手振り身振りで伝えると、
彼女は「Oh,」と眉を上げて笑い
「ありがとう。でも、気にしないで。
 私たち、いつも一緒にいるんですもの。時には離れて過ごす時間も必要よ」
と、ゆっくりとしたわかり易い英語で言います。
な、なんて気の利いたことを言うんだ、アメリカ人!(うん、カナダ人だったかも)

旦那さんはどんな反応?と見ると、
彼は前方に視線を向けて、何かに気づいたようにふっと立ち上がります。
通路を少し進むと、
3列ほど前の席で鞄を頭上の棚に上げようとしている女性からその荷物を預かり、
彼女が手を伸ばしていた棚にそれを収納しました。
ジェントルマンだぞ、アメリカ人旦那!(まぁ、カナダ人かもしれないんだけど)
そして、奥さんは、席へ戻って来る旦那さんに向かって親指を立てて
「Good job!」と満面の笑み。
その言葉に、旦那さんもそりゃあもううれしそう。
ああ、なんて素敵なんだ。
ビバ、ナニ人か分からない夫婦!!
もうその時点では、それが初めてのひとり海外であることも、
だからちょっと不安で挙動不審だったことも、
「席ぃ、替わる、いい?」レベルの英語しか話せないことも、
すっかり忘れた私は、なんとも楽しく浮かれ気分になっていたのでした。

ちょっと優等生っぽい言い方でなんともこっ恥ずかしいものですが、
旅行というのは、特に、言葉も文化も違う場所への旅というのは、
こういう、人との出会いを楽しむためのものなのかもしれません。
そう、ベトナムの道路を一緒に渡ってくれたおばちゃんや、
香港の街角で道を教えてくれたお姉さんや、
カナダのスーパーで「これ美味しいよ」と声をかけてくれたイケメンや、
そんな人たちにまた出会いたくて私は旅に出るのです。
(くうーっ、かっこいい!)

ああ、旅に出たいよ。
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Top▲ | by mikansky | 2009-11-13 22:46 | trip・odekake
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